ICT x Education

ICTコーディネーター・阪上からのメッセージ

生徒1人1台を導入し、その先にあるものは?

 まだ日本には生徒一人1台(1:1)の状況は少ないものの、国の方針としては2020年までにはそのような状況にするとなっている。しかし、一人1台の体制にすることが目的ではないことは念頭に置いておく必要がある。だが、多くの場合、その整備にほとんどの力が注がれてしまい、その本質を検討することがおろそかになっている。

 こちらの記事は、1:1の先を見るためにどのように考えればいいのかが掲載されていました。少し先のことであり、すぐ先のことです。目的と手段がこんがらがらないように、ご紹介させていただきます。

 粗末な和訳となることをあらかじめ謝罪しておきます。ご理解の上、ご覧ください。

 テクノロジーを生徒へ導入するために、多くの学校では1:1を導入しています。多くの場合、それは1台のタブレットもしくはノートパソコンをそれぞれの生徒に。

 クラスもしくは学校に1:1を導入するアドバイスはたくさん発信されていますが、児童生徒が一人1台の端末(デバイス)を所有することでどのような変化が生じるかについて言及している情報はとても少ない、とJennifer LaMasterさん(assistant principal at Brebeuf Jesuit Preparatory School in Indianapolis, Indiana)は伝えています。 

「多くの学校にとって、1:1の導入は1年仕事です。すべての力をそこに集中させ、すべての投資がそこに集中されます。子どもたちはデバイスを手に入れ、そして思うのです。”さぁ、この後はどうしたらいいのだろうか?”」と。

彼女のウェビナー(動画配信) So You've Gone 1:1: What Now?の中で、 LaMasterさんは3つの点(物理面、バーチャル面、文化面)にフォーカスして、1:1がいかに指導者にとって課題になる(なりえる)かを紹介しています。

 

教室環境を考え直そう

すべての生徒の手元にデバイスが行き渡ると、いままでの机上の学習は成立しなくなる。その活動の多くは再構成される必要があるだろう。 

「生徒にグループ作業をさせるためには、学習環境はよりフレキシブルにならないといけない。」と彼女は解説します。

そして、生徒たちの手元にコンテンツ(教材や学習内容)があるようになると、教師はもはや学習の中心ではなくなる。そうなると次の課題は、教室をいかにコラボレーションできる環境に変化させられるかだ。

「3ヶ月以内に、ほとんどの教師はいままでの教室環境やコンピューター教室はこのままでは使い物にならないと気づいた。そして、それは多くの人を驚かせた。」

 

バーチャルな体験を準備しよう

 ノートパソコンであってもタブレットであっても、それらは可能性にあふれた学習ツールである。しかし、生徒が適切方法でツールを使っているか確認するのは、教師と学校の責任だ。それは、より発展されたホームページや、使いやすくて・選定されたアプリなどを含めた学校のバーチャル上での存在を再検討するということをも意味している。

「ほとんどの学校が準備できていないような、より堅牢なバーチャル体験ができる環境がほしくなるでしょう。」と LaMasterさんは言い、「それは、生徒から要望が出てくるでしょう。そして、それを自分たちで解決したいと言い出しても驚かないでください。例えば、彼女の学校の生徒たちが、彼らが必要な情報をまとめた学校のアプリが必要だと言い始めた。そして、一人の生徒がアプリを作成し、それは生徒目線で作られたため、世の中で販売されているものよりも使い勝手がよかった。」

 

混乱に備えよう

生徒がデバイスを持っているからといって、アナログな学級活動が終わるというわけではない。「子どもたちはずっと画面を眺めているべきではない」とLaMasterさんは忠告する。 

1:1のチャレンジは、想定外な場面で混乱が生じたとしても、常に学校の教育方針に従うことである。教師は、生徒のポジティヴな成長のために直接ガイドするときと、教室環境の中でテクノロジーがどのように融合するかのバランスをとらなくてはならない。「時には端末をオフにさせないといけないときがあるけれども、それでOK」とLaMasterさんは言います。 「その瞬間、子どもたちに集中していてもらいたいのです。」

LaMasterさんは、1:1は学校や教育委員会の教員研修の体制によっては困難なものになる可能性があると指摘しています。「1:1を導入する前に、指導案がどう変わるべきか、端末の不具合をどのように解決するかなどを事前に協議しました。」とも話して、「一年後に、教師たちは皆んなが苦労していることについて研修をしてほしがっていることに気づいたのです。」

これら3つに加えて、LaMasterさんは次のような課題をISTE Professional Learning Series webinarで取り上げる予定です:

  • 明確な1:1の目的を設定し、そこから離れない
  • 思いがけない事象が発生することを理解しておく
  • 児童生徒の声に耳を傾ける 
  • 時に計画よりも高額になりかねないコストを事前に計画しておく

さらに1:1導入課題について学びたい場合は、La Masterさんの webinar tomorrowをご確認ください。 

 

元記事:You’ve gone 1:1. Now what?(https://www.iste.org/explore/articleDetail?articleid=328&category=ISTE-Connects-blog&article=Youve-gone-1-to-1-now-what&utm_source=Facebook&utm_medium=Social&utm_campaign=EdTekHub