ICT x Education

ICTコーディネーター・阪上からのメッセージ

iTunes U アプリの大幅進化

iTunes Uが、進化しました!

iPhoneiPadで利用できるアプリのバージョンアップがあり、いままでに実現できなかった機能が強化されました。

 

そもそもiTunes Uは、大学をはじめとした教育機関が講義配信のためのシステムとしてスタートしました。日本でも東京大学をはじめとした著名な大学が、そのころにリリースされています。その後、小中高からの要望が高まり、より幅広い教育機関が講義配信できるようになりました。

そして、iPhoneiPadの普及によって、多くの学習者がデバイスを持つようになったことも影響してかなのか、iTunes Uはアプリとして登場し、いままでの講義配信式からコースへと進化することになります。コースとなることで、より簡便な仕組みへと発展したわけです。

 

初期バージョンは、ネットワークがない環境でも講義を視聴することができるという画期的な手法でした。ストリーミング配信のように無線LAN等を必須としなかった。しかし、双方向性という点では劣っていました。常にシンプルを追求するAppleっぽいスタートです。

その後、バージョン2.0になると、「討議」という機能が追加され、コースの中でディスカッションをすることができる機能が追加されました。(最近でいう教育系SNSと同等です)

これにより、一方通行な講義形式から、双方向性を手にいれることができました。

そして昨日、2回目となるバージョンを果たし、アプリがさらに進化したわけです。

 

長くなりましたが、追加変更点は下記です。(AppleiTunes Uアプリのサイトから引用)

• 受講者が課題を提出できるようになりました
• iTunes UでPDFの課題に直接注釈を付けられるようになりました
• 講師が総合成績評価で成績を付けたり、受講生の進捗状況を追跡したりできるようになりました
• 受講者と講師の間で1対1のプライベートな会話ができるようになりました
• 1つの課題に複数のファイルを添付できるようになりました

 

なんと、いままでになかった課題の提出ができるようになっているではないですか!

いままで最もほしいと思っていた機能が追加されて、ある意味完全に使えるツールになったと思います。これで有償サービスはほぼいらないかな...(iTunes Uは無償です)

 

国内でもiTunes Uは多くの自治体や学校で使用されています。

この進化によって、「いつでも・どこでも・だれでも」学習できる環境の実現をよりしやすくなったと感じます。

近い将来出てくるであろう実践例を楽しみにしたいと思います。(それらはまた追ってご報告します)

iTunes U

iTunes U

 

世界的な生徒1人1台の状況とは?

本日から新年度ですね!今年度も様々な情報をお届けしたいと思います。

第一弾として、国内でのタブレット導入も盛んではありますが、世界に目を向けてみましょう。

 

海外の様々な国でも日本と同様に生徒になんらかのテクノロジーを持たせようという動きがあり、2015年のその成長率は12%とFuturesource Consultingは報じています。

Futuresourceとはイギリスのリサーチ会社ですが、アメリカの学校へのモバイル端末の導入は10%増とも予想しています。

 

他の国に視線を移してみると。

 

2014年には、すでに7カ国が500,000台以上のコンピューターもしくはタブレットを生徒1人1台(1to1)として導入しています。

その国とは...

なんと南米が多いんですね。他にも国策で1to1を導入している国々が多々あります。

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トルコを例にとっていみると、75万台以上のタブレットを今年中に、さらに35万台のモニター(いわゆる電子黒板)を2016年までに導入します。これだけのモニターの数で全教室をカバーできるのだそうです。

 

逆にタイの1to1導入は一昨年前に行われましたが、実は失敗に終わりました。

残念なことに昨年の軍事クーデターが原因です。大きな初期投資に対するクレームがついたようです。現在は、教室にモニターを設置する方向(つまり1to1とは逆転換)で進んでいるようです。

それ以外にも、ベネズエラProject Canaima)アルゼンチン(Conectar IgualdadウルグアイPlan Ceibal)など南米がとても元気です!

特に、昨年の注目されたウルグアイの導入では、標準LMS(Learning Management System : 学習管理システム)にSchoologyを採用したという発表が話題となりました。Uruguay announced that it had chosen the Schoology platform

これまで学校単位や自治体単位での導入はありましたが、国レベルで導入されるのは異例ともいると思います。

これらに続いて、メキシコも100万台のノートパソコンの導入を行う計画があったり、ブラジルでは教師のタブレット端末プロジェクトが計画されています(同じく100万台相当)。

Futuresourceの調べでは、ボリビアエクアドル・コロンビア・スリナムホンジュラス・ペルーも動き出しているとか。

 

多くの国々が動き出す中、日本はどのように進んでいくのでしょうか?

内だけではなく外にも目を向けていきたいところですね。

 

原文:Global 1-to-1 Computing in Schools Expected to Grow 12 Percent - Marketplace K-12 - Education Week

 

生徒1人1台を導入し、その先にあるものは?

 まだ日本には生徒一人1台(1:1)の状況は少ないものの、国の方針としては2020年までにはそのような状況にするとなっている。しかし、一人1台の体制にすることが目的ではないことは念頭に置いておく必要がある。だが、多くの場合、その整備にほとんどの力が注がれてしまい、その本質を検討することがおろそかになっている。

 こちらの記事は、1:1の先を見るためにどのように考えればいいのかが掲載されていました。少し先のことであり、すぐ先のことです。目的と手段がこんがらがらないように、ご紹介させていただきます。

 粗末な和訳となることをあらかじめ謝罪しておきます。ご理解の上、ご覧ください。

 テクノロジーを生徒へ導入するために、多くの学校では1:1を導入しています。多くの場合、それは1台のタブレットもしくはノートパソコンをそれぞれの生徒に。

 クラスもしくは学校に1:1を導入するアドバイスはたくさん発信されていますが、児童生徒が一人1台の端末(デバイス)を所有することでどのような変化が生じるかについて言及している情報はとても少ない、とJennifer LaMasterさん(assistant principal at Brebeuf Jesuit Preparatory School in Indianapolis, Indiana)は伝えています。 

「多くの学校にとって、1:1の導入は1年仕事です。すべての力をそこに集中させ、すべての投資がそこに集中されます。子どもたちはデバイスを手に入れ、そして思うのです。”さぁ、この後はどうしたらいいのだろうか?”」と。

彼女のウェビナー(動画配信) So You've Gone 1:1: What Now?の中で、 LaMasterさんは3つの点(物理面、バーチャル面、文化面)にフォーカスして、1:1がいかに指導者にとって課題になる(なりえる)かを紹介しています。

 

教室環境を考え直そう

すべての生徒の手元にデバイスが行き渡ると、いままでの机上の学習は成立しなくなる。その活動の多くは再構成される必要があるだろう。 

「生徒にグループ作業をさせるためには、学習環境はよりフレキシブルにならないといけない。」と彼女は解説します。

そして、生徒たちの手元にコンテンツ(教材や学習内容)があるようになると、教師はもはや学習の中心ではなくなる。そうなると次の課題は、教室をいかにコラボレーションできる環境に変化させられるかだ。

「3ヶ月以内に、ほとんどの教師はいままでの教室環境やコンピューター教室はこのままでは使い物にならないと気づいた。そして、それは多くの人を驚かせた。」

 

バーチャルな体験を準備しよう

 ノートパソコンであってもタブレットであっても、それらは可能性にあふれた学習ツールである。しかし、生徒が適切方法でツールを使っているか確認するのは、教師と学校の責任だ。それは、より発展されたホームページや、使いやすくて・選定されたアプリなどを含めた学校のバーチャル上での存在を再検討するということをも意味している。

「ほとんどの学校が準備できていないような、より堅牢なバーチャル体験ができる環境がほしくなるでしょう。」と LaMasterさんは言い、「それは、生徒から要望が出てくるでしょう。そして、それを自分たちで解決したいと言い出しても驚かないでください。例えば、彼女の学校の生徒たちが、彼らが必要な情報をまとめた学校のアプリが必要だと言い始めた。そして、一人の生徒がアプリを作成し、それは生徒目線で作られたため、世の中で販売されているものよりも使い勝手がよかった。」

 

混乱に備えよう

生徒がデバイスを持っているからといって、アナログな学級活動が終わるというわけではない。「子どもたちはずっと画面を眺めているべきではない」とLaMasterさんは忠告する。 

1:1のチャレンジは、想定外な場面で混乱が生じたとしても、常に学校の教育方針に従うことである。教師は、生徒のポジティヴな成長のために直接ガイドするときと、教室環境の中でテクノロジーがどのように融合するかのバランスをとらなくてはならない。「時には端末をオフにさせないといけないときがあるけれども、それでOK」とLaMasterさんは言います。 「その瞬間、子どもたちに集中していてもらいたいのです。」

LaMasterさんは、1:1は学校や教育委員会の教員研修の体制によっては困難なものになる可能性があると指摘しています。「1:1を導入する前に、指導案がどう変わるべきか、端末の不具合をどのように解決するかなどを事前に協議しました。」とも話して、「一年後に、教師たちは皆んなが苦労していることについて研修をしてほしがっていることに気づいたのです。」

これら3つに加えて、LaMasterさんは次のような課題をISTE Professional Learning Series webinarで取り上げる予定です:

  • 明確な1:1の目的を設定し、そこから離れない
  • 思いがけない事象が発生することを理解しておく
  • 児童生徒の声に耳を傾ける 
  • 時に計画よりも高額になりかねないコストを事前に計画しておく

さらに1:1導入課題について学びたい場合は、La Masterさんの webinar tomorrowをご確認ください。 

 

元記事:You’ve gone 1:1. Now what?(https://www.iste.org/explore/articleDetail?articleid=328&category=ISTE-Connects-blog&article=Youve-gone-1-to-1-now-what&utm_source=Facebook&utm_medium=Social&utm_campaign=EdTekHub

同志社中学校の公開授業に参加して

先週、2月9日(月)に同志社中学校さんにて中1英語科の公開授業が行われ、

縁あって、視察させていただくことができました。素晴らしい取り組みです。

英語科・反田先生から伺った内容も加えて共有します。

 

まず、 同志社中学校は今年度から保護者負担でiPad miniの1to1(生徒一人1台)を導入していますが、その準備には3年を掛け、十分に検証されていたようです。その流れをご紹介します。

 

導入の進め方

フェーズ1) 2012年2学期:20台のiPad導入。授業実践を行う

  期間:2ヶ月(のべ18時間)

  実践クラス:中学2年3クラス

  生徒のモチベーションがあがるなど、よくわかった

  1台ずつ個別に設定した。私物のPocket wifiを活用

 

フェーズ2) 2013年度:40台のiPad導入

  授業時に、1:1を実現できるようになる

  従来の校内ネットワークに接続

  社会の授業で調べ学習、体育でフォームを見比べる学習に発展

  英語ではiBooksなどをつかった学習も行われた

 

フェーズ3)2014年度

  新1年から1:1を導入

  学習のツールとして授業・家庭学習で活用

  リマインダーで宿題をチェックしたりする活動も自主的に始まる

 

*ポイント!

ここでまず素晴らしいのが活用シーンを見極め、その効果を把握するために段階的な導入と複数教科での実践を重ねてきていることです。おそらくこの過程で運用での懸案なども出てきて、その課題解決についても協議なさったのではないかと思います。

よく1回で必要台数をすべて導入してしまうケースが見受けられますが、こちらのようなステップを踏むと様々な準備が整います。そして、このステップを踏むことで、段階的な教員研修も行えます。同志社さんでは、年に2回の研修をしているとのことでした。

 

公開授業の内容

当日は、2クラス同時進行の授業(1クラスはハーフクラス)でした。

それぞれのクラスには6ブースが用意され、それぞれにSkypeが起動しているiPadが配置されていました。その接続先には異なる国々の講師が接続されていて、事前に作成していた質問で生徒はインタビューをします。

1班2名程度。3分間話をし、次のブースへ移動する。

質問をしていく中で、どの講師がどの国の人かを当てるというのが課題でした。そのため、「どこの国ですか?」などの質問は禁止されましたね。

 

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インタビューをしているときの様子もまた面白い!

普通、このような交流学習があると手元には、ワークシートだけですね。でも、この生徒たちは違いました。

質問ワークシートを写真で撮っていたのでしょうか?もしくは色々と事前に調べたことでしょうか。質問をしながら、手元のiPad miniを操作しながら、当日用意されたワークシートに書き込んだり。まさにマルチタスク

(残念ながら、容量の問題で動画を添付しませんでした。。。)

 

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授業の後半では、1人の講師に焦点を絞って、講師紹介をつくるという課題が与えられました。課題はその場で完成させるのではなく宿題ともなって、ロイロノートをつかって提出することに。

「提出箱」は家庭からもアクセスすることができるため、自宅でインターネットが使える場合には、自宅からも提出することができるんですね。

 

なお、保護者負担で購入しているiPad miniですが、当然保護者に案内をしたときに質問があったそうです。そのときに想定されていたのが、無線LANがあるかないか。

公立学校の導入で持ち帰りが懸念されるのは、まさにここですね。

環境の公平性が担保できるかどうかです。

しかし、そこはさすが同志社さん。ほとんどもってる想定、もしくはスマホなどのテザリングを考えれば、ほとんどの家庭が何かしらのネットワークがあるはずということで。

そして、実際に無線LAN関連で質問をされた保護者は1-2名だったようです。

それだけすでに普及しているということですね。

 

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さて、この取り組みは、株式会社ベストティーチャーのサービスの支援があって実現しています。ベストティーチャーさんは、テレビ会議(ここではSkype)などの仕組みを利用して、隙間時間などで英会話を行えるようにするためのサービスを展開しています。


オンライン英会話なら無料体験できるベストティーチャー 

 

すでに複数の学校や教育委員会から相談もされているようで、今後注目されるサービスになると思います。なかなか海外の学校と交流となると、気をつかうことが多いです。

時差であったり、学習進度であったり、学年であったり。

そのあたりを解決してくれるひとつの方法になりそうです。

 

授業準備

同志社さんは恵まれていることに、各学年に1名のネイティブ教員がいらっしゃるそうです。しかし、それでも授業中は1対18になってしまい、単純計算、ひとり2分しかない。

今回のような仕組みをすることで、一人当たりの関わりの機会を増やすことができます。

そしてなによりも大事なのが、1回の授業で複数の国の人と交流できるという点だと思います。

普段接するネイティブ教員は、おそらくアメリカやイギリスやオーストラリアの方でしょう。しかし、現実社会で英語を扱う人たちはもっといますし、生の英語は綺麗ではありません(発音や文法という意味で)。

 

まさに、多様性ですね!

このあたりは英語力として大きな財産になると思います。

 

そして、複数の国の人と関われるということは、多民族理解を授業に取り入れることができるということでもあります!

これからのキャリア教育としてもとても重要なポイントです。

 

1時間の中で、半分以上を聞いたり話したりする機会は普段できません。決まったことを繰り返したりの英語の授業が一般的ですが、今回のように自ら考えて、というのはこれからの能力としては大事ではないか?というのが授業づくりのきっかけだったようです。

 

インフラ

今回の取り組みを実現するためには、Wi-Fi設備の充実がもちろん重要ですが、そのあたりについても同志社さんは事前に設計されていました。

Wi-Fiアクセスポイントは中学校が授業を行う教室すべてと教科のメディアスペース、図書・メディアセンターの合計47か所に設置しています。教室は基本的に1教室に1アクセスポイントとし、機器はフルノシステムズのACERA 800STを採用。また、無線ネットワーク管理システム「UNIFAS」を導入し、1アクセスポイントにつながる端末数は100台を超えても対応可能で、ローミングもスムーズに行えるように設計されています。

同志社さんでは、生徒が教室を移動して授業を受ける「教科センター方式」を採用しているため、どの教室で授業があっても対応できるように、昨夏に一気にWi-Fiネットワークの工事を行われました。最終完成年度(2016年度)には900台の端末がつながるため、それを見越した整備をされたのですね。

 

これもまた大事なポイントです!

将来を見据えて、インフラを設計するということです。

安易に40台がつながればいいというわけでもありません。

また、生徒がどのような動きをするのかを想定してデザインしなければなりません。

さらに学校環境は微妙にそれぞれ異なります。周辺環境からの電波干渉も場合によっては。これらを鑑みて設計するのが大事ですね。

 

まとめ

同志社さんは、単にiPadを導入しただけではありませんでした。

「教科センター方式」も「ノーチャイム制(チャイムがないんです!)」ということも、学校のビジョンがあるから実施しています。

教育目標に掲げられている「自主性を育成し、自治活動を育てる」ですね。

すべてに意味がある、とても大事なことだと思います。

生徒たちの動きを見ていれば、そのビジョンが浸透していることがわかります。

 

今回の導入にあわせて、学習ポータルサイトが準備されました。


同志社中学校 学習ポータルサイト e-CAMPUS

 

よくあるポータルサイトは、授業や宿題を管理するために用意がされています。しかし、同志社さんでは、自発的な学習をするために用意されている教材ポータルでした。つまり、「明日の宿題はここにあるから、こなして提出しておくこと」のためではなく、「互いのレポートなどを共有して見比べたり、隙間時間をつかって学習できる教材がある場所」のようです。自発的な学習が定着しているからでしょうか、想定外に中3生が活用し、いままでよりも小テストのスコアが伸びたなどの効果が見えているとも。

 

さて、まとまりのないまとめになってしまいました。今回とりあげさせていただいたのは、ほんの一部だと思います。また追加取材をしたいですね。

 

今回、最も大事だと感じたのは、ビジョンがあるということでした。

加えて、次のポイントがクリアされていたところです。

・ビジョンに基づいて実践したいことが明確で、そのために端末が選定されていること。

・スモールステップで展開することで、確実に自分のものにし、課題洗い出しが行われていること。(導入プランがある)

・教員研修が定期的に提供されていること。

 

他国でも成功している実践例と共通しているポイントが数多くありました。

なお、それら海外の事例はまたの機会にご紹介させていただきます。

 

以上。

 

 

テクノロジーを使って、優れた教師が行っている3つのこと

原文:3 things great teachers do with technology | eSchool News | eSchool News

Stephen Noonooさんが、eSchool Newsに投稿していた記事です。とても大事なことが発信されていましたので、ご参考になればと思いまして簡単に和訳してみました。

ややわかりにくい日本語の部分もありますが、ご了承ください。

テクノロジーを価値あるものに変化させ、学習に意味をもたらす3つの事例

teacher-technology

導入初期の先生方は、多くの場合、アプリやツールを探し、気に入ったものを生徒たちに紹介する。生徒たちは、興奮し意欲が向上することもある。しかし、教師がなぜそのツールを使うのかを明言できない場合、その導入には教育的な目的は欠如している。

代わりに、学習目標を先にたて、それからアプリを選定したり活動を支援するためにタブレットを使うのであれば、テクノロジーの効果的な導入の道を歩んでいる。

先生たちが教室の中でテクノロジーを活用するためのビジョンを描く手助けのために、いくつかの事例をご紹介します。

1. クリエイティブな作業をとおして、生徒の学習意欲を向上させる

 Shawn McCusker(高校・社会科)は、20年以上の教師経験のほとんどの間、産業の発展に関わった哲学者たちについてのエッセイを生徒たちに書かせていた。

 2年前、iPadのパイロットプログラムに関わり、生徒たちには選択肢を与えるようになった。

エッセイを書く、もしくはiPadに含まれるクリエイティブなツールを使うか。

YouTubeがシャイな生徒を救い、そして、動画の高いヒットが生まれた理由

 彼の生徒のひとりが、アダムスミスとカールマルクスを比較する12分の動画チュートリアルを作成した。

さて、この生徒はとてもシャイな子でした。クラスの生徒たちがそれぞれのプロジェクトを発表し終わり、彼女の動画が再生されようとしたとき、彼女はトイレに駆け込んだ。そして戻ってきたときに迎えていたのは、拍手喝采だった。

 ShawnはYouTubeチャンネルを持っていたため、生徒たちにはまた選択肢を与えた。本物の視聴者に公開するかどうか。クラスの生徒がYouTubeに投稿することを決め、動画をアップロードしたとき、何件かのヒットを集めた。その生徒はあまりにも興奮して、「このプロジェクトをもう少し取り組んでもいいですか?動画をもっとよくしたいんです」(いったいどれだけ多くの生徒が、エッセイをもっと書きたいというでしょうか?)

 この生徒のゴールは、ウェブ上に存在するアダムスミスとカールマルクスに関する資料の中で、一番人気のある資料にすることだった。もしGoogleを使って、これからの哲学者を調べると、ウィキペディアやアメリカ議会図書館などを差し置いて、彼女の動画がトップ3に表示されるでしょう。

 彼女がこれら視聴者の注目を得ることでどれだけのプライドと向上心を得ることができるか想像できますか?こ学習過程で向上心が高まり、もっとプロジェクトに取り組みたいと言い出した生徒の事例でした。また、シャイだったために、クラスで発言することがなかった生徒が、クリエイティビティを解放させることで、輝いた事例でもあります。

2. 学習者同士をつなげる

 優れた教師は、クリエイティビティをとおして生徒の学習意欲を向上させるだけでなく、生徒たちをほかの視聴者とつなげる取り組みをしている。生徒たちの知識が、他人の手助けとなるような場の提供をしている。

 Kristen Painoは、グローバルブックシリーズの発展に貢献をした、ニューヨーク在住の教師です。グローバルブックシリーズには、世界中の教師や生徒が執筆した本が含まれる。

 Kristenは、学校や地域に関して生徒たちがまとめた2ページの本を、積極的にTwitterやBook Creatorアプリをとおして紹介している。いまのところ、iTunes Storeに3つの本が出版されている。

 グローバルブックを作成することで、Kristenは世界中のクラスが一緒となり、何かユニークでクリエイティブなものを出版し、同時に互いに学び合うことができることを証明したいと考えている。 プロジェクトの魅力的な側面としては、地理の教え方が再定義されたということです。生徒たちは他の国の仲間から話を聞くにつれて、このような質問をしだした。:ロシアはどこか?メキシコはどこか?これらの国々は自分の国とどう違うのだろう?

従来は、受け身で教師からの一方通行であることが多かった地域の暗記や事象の丸暗記は、inquiry-based的な進め方に変容していった。生徒たちは質問をし合い、地理的な探求を進めていく。そうすることで、生徒たちは地図を見たくなった。生徒たちはもっとこれらの地域を学習したくなった。

生徒の頭から切り離されない授業

3. 学習に継続性をもたらす

数年前、当時16才の養女は学校から帰宅するなり、キッチンで調理器具をとりだした。その最中、彼女はiPodの動画を見ていた。「いったい何が起きているんだ?」と私は思ったものだ。

Oliviaは、上級日本語クラスにいる2人の生徒がつくったクッキングショーを見ていた。彼女は自分の料理を自分でつくる準備をしていた。Oliviaの先生は、新しい単語を本当に理解しているかどうか、チャレンジを与えていた。テストはなし、ワークシートもなし。彼らの課題は、語彙を本当に理解したかどうかを証明する「製品」をつくることだった。語彙のほとんどがキッチンにあるものだったため、生徒たちは「料理の鉄人」のパロディーを作ろうということになり、単語を使って、視聴者に料理をつくらせるユーモアあふれる寸劇を作成した。Oliviaはいま24才になり、昨年は日本で英語を教えた。彼女は、日本人の同僚を夕食に招いたときのことを振り返った。Oliviaはどのように夕食を準備したのかを説明していると、「待って!Olivia!あなたの日本語はそんなによくないわ!」と口に出された。

Oliviaは流暢に日本語を話せない、しかし彼女は、彼女が友達と作った「料理の鉄人」動画から語彙や動詞や熟語を記憶している。By her own admission, Olivaは、 その授業で学んだ「ほかのことはあまり思い出せない」 と告白している。しかし、7年後になっても料理の鉄人は彼女の頭の中で新鮮なままだ。

このようなクラスでは、生徒たちはプロジェクトのことを忘れない。shawnの生徒が作成した、あのアダムスミスとカールマルクスのビデオは彼女とともに離れることはない。彼女ががんばった過程だけではなく、その内容ももちろんのこと。

その生徒はこれらの哲学者の仕事についてなにもかも理解していると、Shawnは賛同するでしょう。動画は、純粋にテクノロジーが可能にした、彼女の知識の現れや表現である。実際には、彼らの仕事について読んだり、彼らの論争を分析したり、彼女の知識の中からプロジェクトをアウトラインしたりした時間である。

Tom Daccord is the director of EdTechTeacher [4], a professional learning organization.

Lightning用のUSBドライブ

数々の学校や教育委員会タブレットが導入されはじめていますが、その端末のひとつとして、ある程度の地位を確立しているiOS端末(iPadiPad mini)。
しかし、USB端子を持ち合わせていないため、よく現場で利用されるUSBドライブが使えなくて困るという話をよく聞きます。
 
DropboxGoogleドライブのほかに、WebDAVサーバ(ファイルサーバー)などのクラウドストレージが普及している中、それらを活用されている方々もいらっしゃいますが、無線LANを使ってアップロード・ダウンロードすることになるため、ネットワークが十分に整備されていない環境では役に立ちません。
もちろん、学習環境を整備する上で、第一に考えたい無線LAN
でもお金が掛かるから、ということで整備が遅れているのも事実。
 
そこで、この製品に着目してみました。
iOS端末が唯一もつ物理的な端子(Lightning)と接続ができ、USB3.0端子でパソコンとも接続ができるUSBドライブです。
しかも、類似商品として、iStickという名前で数々の商品が発売されていますが、
USB3.0で利用できるのはこの商品のみでした!

i-FlashDrive EVO for iOS & Mac / PC (8GB:9,720円-2/5時点)

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このUSBドライブは、iOSアプリをインストールし、そのアプリを経由して、

iOS側にファイルを保存するという手法を用いています。

対応ファイルは、画像・動画・オフィスファイル形式など、実際に授業で扱っている形式は十分対応していました。

 

実は当初、このUSBドライブをプロファイル(WiFiなどのパスワードを格納したファイル)を配布するために利用できないかな?と思って試していました。

無線LANがパスワードロックされている状況下で、メールやネットからプロファイルを取得してもらうというのは矛盾がありますので、なんとかUSBドライブなどが使えないかな、と思ったのです。

しかし、残念なことに、iPhone構成ユーティリティで作成されたプロファイルの配布方法としては、メールとWebと記載があり、実際に試してみても、プロファイルを開くためのアプリがないということで実現できませんでした。

今後、できるようになると手軽でいいなと思う次第です。

 

なお、Macのアプリケーション(Apple Configurator)を用いると、30台までまとめてUSBハブ経由でインストールすることはできます。ただ、誰でもMacを持っているわけでもないということで、この実験に至っています。)

 

 
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